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RESEARCH
医療・バイオ

1953年,James WatsonとFrancis CrickによりDNAの分子的実体が解明されたのを契機に、生命科学は急速に発展を遂げてきました.セントラルドグマの解明,ヒトゲノムプロジェクトの成功, ES細胞およびiPS細胞の樹立.こうして得られた科学的知見は、遺伝子組み換え技術や着床前診断、抗体医薬など多くの有益な技術を生み出しました.また逆に,光遺伝学のような新たな技術が近年,脳科学において強力なツールとなっているように,科学と技術は両輪を成して前進していきます.  

こうした働きを加速させるものとして期待されているのが,「マイクロ流体システム」または「Lab on a Chip」と呼ばれる分野です.これは極小の空間を用いて,細胞などの生体材料を扱う技術です.この技術の重要な特徴として,「スケール効果」が挙げられます.このスケール効果により,小さな空間では支配的な力が変化します.この性質をうまく利用することにより,従来にないものづくりが可能となります.

例えば,分子拡散.分子拡散とは,空間中を分子が自発的に散らばり広がる現象のことで,コーヒーミルクがコーヒー中に広がっていくときのような,身近にみられる現象です.1次元の分子拡散では,長さの2乗に比例して拡散時間が変化します. したがって,サイズがマイクロオーダまで小さくなると,分子拡散は極めて速く進行するようになります.本研究室で開発している人工透析装置では,このスケール効果により尿素などの不要物質を速やかに除去することができます.  

超高齢社会に突入した日本において,医療・バイオ分野の発展は急務です.人の命を救い,生活の質を高めるような技術開発に貢献するため,三木研究室では工学的な視点を活かした様々な研究プロジェクトを推進しています.